日本児童出版美術家連盟、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会、日本書籍出版協会児童書部会の 4 団体は、「読み聞かせ団体等による著作物の利用について」というガイドラインを2006年5月発表しました。(ガイドラインは、http://www.jbpa.or.jp/guideline.htm からダウンロード出来ます)
このところ様々な団体が絵本の読み聞かせを実施しているようですが、絵本などには著作権がはたらいていることが、読み聞かせの現場で意識されていないので、どのような活動が著作権者の許諾が必要かを書いたガイドラインを用意したということらしいです。このガイドラインを読むと、非営利団体でも、絵本を OHP などで拡大して読み聞かせをする場合は、著作権者の許諾が必要だそうです。その他にもブックリストを作るときも出版元を通じて著作権者の許諾が必要な場合があるとか...。
うーん。なんかしっくりしませんね。法上は許諾が必要なのかもしれませんが、なにか釈然としないものがあります。そう思ってこのガイドラインとにらめっこをしていたのですが、その理由がわかりました。作家や著作権者の意見がこのガイドラインには書かれてありません。また、現場の活動がなぜ出版社や著作権者に迷惑をかけているかもわかりません。法律上の権利があるということと、何をするときは許諾が必要かということしか書かれていないのです。
具体的に言うと、なぜ OHP で絵本を拡大することが著作権者の許諾が必要なのかの説明が、「著作権法がある」以外には説明されていないのです。著作権法を読めば良いのかもしれませんが、それでもなぜ法で守られているかは法律からではわからない気がします。これでは子供も大人も困ります。
絵本の読み聞かせが教育の一貫という立場に立てば、「なぜ OHP で拡大するのも勝手にしてはいけないのか」を子供に説明出来るようにしておきたいです。「法律がある」というのは理由のようではありますが、その説明では意図が説明出来ません。「児童なんとか」団体と名乗っている以上は、子供への説明をどうするのかを考えるべきです。そういうことをしないから、自分たちの利権を守ることばっかり気にしていると思われ、だれもガイドラインなんか守りたくなくなってしまうのです。
追記) 2009.01.27
ガイドラインのアドレスが変更になりました.新しいアドレスは.http://www.jbpa.or.jp/guideline/readto.html です.
2006年5月13日土曜日
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4 件のコメント:
初めまして。このご感想が参考になりましたので、私のブログで記事を紹介させていただきました。トラックバックをお送りできないため、コメントを残させていただきます。ご覧頂ければ幸いです。
http://d.hatena.ne.jp/Yuny/20060515/p1
はじめまして、
絵本の読み聞かせ活動をしている者です。
このガイドラインをみて、
善意とはいいながら、他人様の作品と、自分でつくったものの区別がついていない人がいっぱいいるから、とうとう怒られた><
という感想を持ちました。
読み聞かせの現場では、よりわかりやすく、親しみやすくと願うあまりの行き過ぎがありますもの。
とはいえ、「利益」のためだけのガイドラインになってしまわなければいいのですが・・・。
(http://blog.livedoor.jp/verara3/archives/50871322.html)
初めまして。著作権というものは曖昧なところもあると思いました。どこまでが違反でどこまでが違反ではないのか。その境界線を区別するのは難しいことが分かりました。
ありきたりな感想でごめんなさい。
絵本の利用にあたっては,「行き過ぎ」ている部分もあるのかもしれません.そのために,何らかの線引きが必要で,法やガイドラインが必要なのでしょう.
ただ,まず私達がすべきことは,法を考えることではなく,作者・作品への敬意ではないでしょうか.それを忘れての利用はどんなにガイドライン内の事であったとしても,「行き過ぎ」なんだと思います.
ガイドラインにも,「まずは作者への敬意を忘れずに」と書いて欲しかったですね.
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