2008年11月18日火曜日

「100万回生きたねこ」に賛否両論があるようだ(3) --- 投影させる経験のない子供にはウケない

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))またまた日が経ちましたが,「100万回生きたねこ」のレビュー第3回です.なんかここまでくると批判するために書いているような気がしますが,読書前読書後,他の人の意見を聞いた後でそれぞれ書くことにしたので書きます.

前回の投稿の後,まんじゅんさんからコメントを頂きました.私もまんじゅんさんのブログにコメントを書きました.そのなかで,なるほどと思った意見がありました.
色々なレビューを見て思ったのは、涙した方々は
みんな自分に何かしら投影させて読み取ったのだなぁということ。
少なくとも投影させる経験の無い子供には向けられていない
大人向けの絵本だと思います。
「投影させる経験の無い子供には向けられていない大人向けの絵本」...私がこの本を読んだ後に考えていたことや,レビューを読んで感じたことを言い得ていると感じました.


私がどうしてもこの本に引っかかりを感じていたのは,みなさんが子供にも読んでもらおうとしているところです.中央児童福祉審議会推薦図書だったり,お子さんに読んでもらおうという意見がレビューにあったり.

でも,私は「子供には不向きな本である」と思っていました.うまく言えないけれど,なにか素直に読めない......どこか説教臭いというか,共感させようとしているような......そんな感想を持っていたからです.いえ,別にそれが悪いとは言いません.本は著者の意見を発信する方法ですし,その意見に共感出来るならすばらしいことです.ただ,子供向きじゃないなと思うし,子供に読ませなくてもいいじゃんと思うだけなんです.

それが,うまく説明出来ないでいたのですが,まんじゅんさんの意見が私の考えを整理してくれました.この本の内容はすばらしいですが,自分の経験の中でそれと投影させるものをもっていない子供には響かないものなんだと思います.たまたま絵本の形をとっているので子供に読ませようとしてしまうのですが,子供...すくなくとも幼児には読ませるたぐいの話ではないのだと思います.

この本は,経験豊かな(大)人向けの本です.内容がすばらしいからといって,絵本だからといって,それだけで子供に読ませようとするのは,やめた方がいいと思います.

これまでの投稿)
  1. 「100万回生きたねこ」に賛否両論あるようだ(1)---本を読む前に
  2. 「100万回生きたねこ」に賛否両論あるようだ(2)---子供にしてみればありがた迷惑なテーマだ

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