2009年11月14日土曜日

[絵本レビュー] エマのしごととともだち(グニラ・ヴォルデ 著)

4 stars話の質が良い。教育的な話だけど,とても自然でくどくない
今日は 娘達が (5 歳 と 3 歳) が寝る前の今日の読み聞かせにと,「エマのしごととともだち」を選びました。この絵本は 2 冊組で,「エマのしごと」と「エマとピーター」からなっています。そして,わたしのこの 2 冊とも好きです。

エマのしごと「エマのしごと」はエマが "なおしやさん" になって,こわれたおもちゃを直していくお話です。最後には,あやまってカナヅチで自分の指を叩いてしまった弟の指も直してあげます。

器用なお姉ちゃんと何でも興味を示して危なっかしい弟が,我が家の長女と次女に重なって面白い。私は結構気に入っている絵本です。

一方,「エマとピーター」は少し深いお話です。なかよしのピーターとエマとの同じところ,違うところが語られています。例えば歳が同じ。でも,エマには両親がいる一方でピーターにはお父さんがいなくておばあちゃんがいます。エマには弟がいるけどピーターには犬がいます。また,同じ恰好をして遊ぶことがあるけれど,遊んだあとのおやつのチーズサンドとトマトサンドを食べる順番が違います。

エマとピーターそして,この仲の良い 2 人は違うところをうらやましく思っています。例えば,エマは自分ちにも犬がいて一日中遊びたいと思っているけれど,ピーターはたまには一人で遊びたいと思っている --- という具合です。

この絵本はこう結ばれます。
もし,ふたりが,おなじような子どもで,
おなじことをするのが すきでしたら,
いっしょにいても,きっと,いまのはんぶんも
たのしくないでしょう。

なかなか,深い話ですね。もちろん子どもは「なんで?」と聞いてきます。私は,「全部同じだったら,違った遊びを思いつくこともないし,ごっこ遊びしても,みんながおなじ役をしたがるのって楽しくないよね」とか言っています。

私の答えも日によって違っているし,内容は別にどうだって構わないと思っています。この絵本のいいなと思うところは,「友達との違い」みたいな話題を自然に子どもとできるところです。子どもも私の意見に対して何か言う時もあって,"考えを伝えあう" ことが出来る時があります。そんな話に自然に導いてくれる絵本はあまりありません。そして,学校時代に配られた道徳の教科書みたいに押し付けがましくないのがもっといいです。

最初に紹介した「エマのしごと」も,おもちゃを直してまた遊ぶということがさらりと伝わってきて共感出来ます。

私は道徳の教科書的な押し付けがましさや,作られたようなさわやかさが嫌いなのですが,この 2 冊はとても素直な気持ちで読めます。おはなしの質の良さというのは,こういうところに現れてくるのかもしれません。

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