2009年11月3日火曜日

絵が描けなくなった --- こどもは具体的,大人は抽象的だから?

抽象的な考え方は,人間の得意とするところです。

たくさんの物事を一般化したり,抽象化したりして,「要はこういうこと」というように覚えることで,細かな違いを無視でき,結果としてたくさんのことを扱えるようになります。大人はそういうことが得意ですし,興味がある人達です。一方子供達は具体的なことに興味があります。大人が枝葉末節だとして捨ててしまうことや,個々の細かな違いに意識が向きます。

ここに動物のフィギアがあったとします。大人は「これは動物のおもちゃだ」とひとくくりにするだけですが,子供は違います。全部の動物に個性を感じるのです。全部違うからです。それで子供の世界には,悪者のライオンがいたり,良い者のペンギンがいたりします。一人遊びをしていても,好きなフィギアをひいきしたりして,ゲームに勝たせてあげたりします。そんな経験ありませんか?

だから,なんなんだと思うような話ですが,これは子供がまだ未熟であるということではありません。実は逆に大人はとても大事なことを忘れてしまっているのではないかと思っています。

例えば,大人になると絵が描けなくなる人が多いのです。というのも,動物 --- 仮に犬としましょうか --- を描こうと思っても,犬を一般化したものを描こうとして,結局本当のところではそれがなんだか分かっていないので,描けないのです。

一方,子供はすいすい書きます。あり得ないような色を使うこともありますし,名前までついていることもあります。彼・彼女は一般化した犬を描いているのではなく,ある特定の犬を描いているのです。

もちろん,子供のように細かなことや大人にとってどうでも良いことをいちいち覚えたり,気にしていては,仕事ができないかもしれません。生活ができないかもしれません。でも,本当は分かっていないのに,分かったような気になっていることも事実としてあるようです。

私は,大人になって見えなくなってしまったものは何なのかを知りたいと思います。

追伸 2009/11/17)
ことしの 1 月にも同じような投稿をしていました。私のなかでよほど気になっていることなんでしょうね。

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