Amazon で,「100万回生きたねこ」の商品説明を見ていたときのことです.出版社/著者からの内容紹介の欄に次のような一節がありました.
これはひょっとすると大人のための絵本かもしれないが、真に大人のための絵本ならば、子供もまた楽しむことができよう。それが絵本というものの本質であるはずだ。「え? 逆じゃないか?」と私は思いました.真に子供のための本ならば,大人も楽しむことが出来るの間違いじゃないかと思ったのです.実際に私はそのように思っています.この書評の全文を読んでいないので,変なことは言えませんが,とてもおかしなことだと思います.
大人は,「子供に常識を足して制限を加えた生き物」だと,私は思っています.常識の範囲内では大人が子供を勝っていても,全体を考えれば大人は子供に劣っていると思います.そう思っている私は,先の書評の内容が理解できません.子供にためになることは大人にもそうだろうけれど,大人にためになることが必ずしも子供にもそうだろうとは限らないと思っているからです.大人のためになることは,常識や慣習に基づいたことが多いですからね.でも,子供にはそれは制限でしかありません.楽しめるはずはないでしょう.
もし,考えの中心を我々の思う常識に置くと,書評の内容は納得感があります.ただしそのとき,「(大人のための本は)子供も楽しめる」というよりは,「子供にこれが楽しめる (ことだ)」と常識を教えるものが絵本であると,なるんじゃないでしょうか.それは大人のエゴです.
......私の曲がった解釈なら申し訳なく思います.
でも,私が子供のときに感じた,「何でも知っていると思っている大人」の臭いが,この書評からしたのです.嫌な気分を思い出しました.