2010年6月4日金曜日

[絵本レビュー] スモールさんはおとうさん(ロイス・レンスキー 著)

2 stars
だいじなことが書いていない
スモールさんシリーズの1つ。スモールさんの家族の生活を紹介した本です。

この本,「まずい絵本」という訳でもないのですが,面白みに欠けます。家族の温かな生活を描いているようでいて,あまり温かさが感じられません。

家族の生活を,子どもが見る時のように,具体的で断片的に描いているのですが,いちばん大切なところがぬけちゃってる,そんな気がします。例えばこんなくだりがあります。
ばんごはんの したくが できています。
スモールさんの かぞくは,
そろって いただきます。
おいしい おいしいと いただきます。
で,何を食べたんでしょうね。挿絵では,テーブルの上にステーキやパンやマッシュポテトのようなものが見えます。なぜ,何を食べたか教えてくれないんでしょう。それはとても大事なことなのに。

作品を比べるのは良くないとは思いますが,私の好きな「パンやのくまさん」の一節を紹介します。
くまさんは,(中略)ばんごはんを たべに おくへ
いきました。だんろのひで マフィンを あぶり,
きいちごのジャムを ぬって たべました。
それから,ゼリーも たべました。
おいしいなんて書いていないけど,おいしいんだろうな。おいしかったんだろうな。そんな風に想像が膨らみます。それは大事なことが書いてあるからだと私は思います。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

スモールさんはおとうさん、大事なこときっちり詰まっていると思いますよ。娘が二歳の頃大好きで、何回も繰り返し楽しみました。モノトーンと青の古い版でしたが、そちらのほうが断然よいです。きれいです。この本の健全さ、あかるさが生きていて。パンやのくまさんもとてもよいですよね。くまさんシリーズもあたたかくて子ども達は大好きです。うちはこれらの絵本を、近所の家庭文庫で知りました。「子どもと本」を基に選りすぐりの本ばかり置いてあったので私自身が目から鱗の体験をさせてもらいました。「子どもと本」ぜひ読んでみてください。 

rerun さんのコメント...

コメントありがとうございます。「古い版」のスモールさんがあるのですね。ぜひ見てみたいです。「子どもと本」のご紹介もありがとうございます。

このブログは私の意見を忌憚なく書いているので、意見に偏りがありますが、ご容赦ください。子供用の絵本は、れっきとした(芸術!?)作品だと思っているので、好き好みがあって当然だし、そういうのも子どもと話し合ってもいいのかなと思っています。(私は本を一緒に読みながらよく本の中の世界について話します)

匿名さんも、お子様と絵本の世界を楽しまれておられるのではないかと感じました。とても素晴らしいことだと思います。