つい先日,小出 正吾さんの「いそっぷどうわ」の復刊が出ているのを,書店で発見しました。小出 正吾さんの「いそっぷどうわ」が私の実家にあって,娘達がその本を大好きなであることは,以前このブログでも書きました。それが,三好 碩也さんの絵もそのままで復刊されているということで,実家に以前の版があるのに,購入してしまいました。
この本の面白いところは,お話の最後にありがちな「教訓じみたひとこと」がないところです。小出さんは解説の中で,寓話は「人びとに道徳的な教訓を与えるもの」であり,「人生のさまざまな経験のなかで,ふと思い出されて,意外に強い指針となってくれる」と書いています。しかし,小出さんはお話の後に教訓を書くことをされませんでした。そのことについては,次のように書かれてあります。
この本では,そのような限定的な教訓をなるべく省いて,自由に解釈できるようにし,... (解説より)
私もこの方針に賛成します。教訓が書かれてあると「わかった気」になってしまいますが,なにも考えていないことがほとんどです。一方,そいういうものが書かれてないと,このお話は何が言いたかったんだろうと自然と考えます。読み聞かせしている場合,隣にいる子供達に「自分の考え」を自然と伝えます。子供達ももちろん「ウチはさ,こう思うよ」とか言いながら意見を出します。ときどき面白い意見が聞けて,感心することもあります。
当然,教訓が書かれてあるよりも頭を使うし,話をするのは面倒ですが,本は元来そういうものであると思います。また,自分の解釈が他人の解釈と違う時もあると思いますが,一緒な方が気持ち悪いと私は思います。
「えぇ!? 違うでしょ」と思われる方にはお薦めの本ではありませんが,「うん,うん。」と思われる方にはこの本をお薦めします。