2011年1月10日月曜日

[絵本レビュー]としょかんライオン(ミシェル・ヌードセン 著)

4 stars近所の図書館にもライオンがきたらいいのにな
タイトルと表紙の通り、図書館にいるライオンのお話です。「図書館にライオンがいたら楽しいだろうな」「やさしいライオンだといいな」「ライオンも絵本を読むのかな?」---つい空想したくなりますよね。この絵本はそんな空想を決してしぼませない楽しい絵本です。

このライオンは荒々しいライオンではありません。図書館の決まりごとをキチンと守り、図書館にきた人たちのお手伝いもしてくれます。もちろん、”おはなしのじかん”には子供たちとお話を聞きます。ライオンは強くて優しくて大きく、誰でも”寄りかかりたくなる”ような存在です。

うちの近所の図書館にもこんなライオンがいたらいいのになぁ...そんな風に思います。もちろん、ありえないんことなのですけれど、この絵本はそんな楽しい空想をさせてくれる本なのです。

さて、このお話の大事なテーマに「きまり」があります。としょかんライオンも「きまり」を守るのですが、ある大事なことを伝えるために「きまり」を破ります。その後、ライオンがいなくなるという事件が起き、最後にはハッピーエンド。こう締めくくります。--- たまには、ちゃんとしたわけがあって、きまりをまもれないことだって あるんです(本文より)。おはなしを通して「きまり」というのが、大事な要素になっているのです。

ただ私は、「きまり」は大事なテーマの1つではありますが、「きまりをまもる」だの「きまりをまもれないことだってある」だの難しいことを考えずに、このお話と一緒に空想でき、おはなしを楽しめたら、それでいいじゃないのかなと思います。

厚生省のなんとか審議会に推薦されていたり、買ったときの帯には「きまり」のことが書いてあったりするのと考えると、学校の道徳教育の材料として捉えたい大人がいるのかもしれませんけど、そんな風に言われら興ざめするよなと思います。上手に「きまり」をテーマにしてあり、空想したくなるお話に仕上がっているのだから、解釈は子供たちにまかせてあげて欲しい。どうか学校で読書感想文なんて書かさせないで欲しい。そう思います。

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