モモは童話ですが,とても示唆を与えてくれる本です.モモには「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」という副題がついています.その名のとおり,時間について考えさせてくれる本です.私のお気に入りの一節を引用します.
時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが,はかってみたところであまり意味はありません.というのは,だれでも知っているとおり,その時間にどんなことがあったかによって,わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば,ぎゃくにほんの一瞬と思えることもあるからです.この本に出てくる町の人たちは,時間を無駄に使わずにいようとするあまり,あくせく働き,時間に追われ,反対に時間がなくなってしまいます.実はその裏には,町に誰にも見つからないように活動する謎の灰色の人達の,時間どろぼうの活動がありました.町の人の時間を奪っていた訳です.モモはその灰色の人達から時間を取り戻した---モモはそのようなお話です.
なぜなら,時間とはすなわち生活だからです.そして人間の生きる生活は,その人の心の中にあるからです.(「モモ」ミヒャエル・エンデ作,大島かおり訳 より)
私はつい,時間内に何かをしよう,一日にたくさん仕事を詰めようと考えがちです.子育てもしかりです.このやり方では,活動を時間で区切ることになります.でも,時間とはつまり生活,そして生活はその人の心の中にありますから,私は時間を区切ることで時間を節約しているつもりで,自分の心を区切ってしまっていたのです.私はいったい何を節約していたのでしょうか? 一方で,本来楽しいことを楽しいと感じられていたでしょうか?
作業を時間内に終えようとすると,それだけでパワーが必要です.時には疲れやストレスも感じるでしょう.場合によっては作業の後,疲れだけが残ったりするかもしれません.本当は楽しいことのはずなのに...
遊ぶために公園へ行ったのに帰る時に子供とけんかする.楽しいはずの食事なのに,早く食べなさいと子供とけんかする.そして疲れる.数えだしたらキリがなさそうです.
規則正しい生活はとても大事ですが,時間は生活を切るためにあるものではありません.そして,子育てに限って言えば,規則正しい生活を教えているときよりも,自分の都合で時間を切るときのほうが,子供と折り合いが悪いような気がします.
そんなことばかり考えていると自分が嫌になりそうですが,モモを読んでみてください.はっとさせられるだけじゃなく,元気もわいてきます.このお話の町では,何かことがあると,「モモのところに行ってごらん!」と言います.そしてモモに話を聞いてもらうのです.すると不思議にことが解決するのでした.理由は本を読んでみてください.モモを読んだことのない人は是非です.
モモのところに行ってごらん!
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