2010年10月23日土曜日

おつきさまのうさぎが見えなくなった

今日は満月の夜です。満月を見ると,昔の3つの記憶がいつもよみがえります。

1つ目は幼稚園の頃。父と銭湯に行く途中でした。そのときに見えた満月にウサギがいて,餅をゆっくりとぺったんぺったんついていました。「おとうさん,ほらウサギがおるで」と言いました。そんなもんおらんやろと言う父に向かって,「ほら〜, 今,餅ついているやん。うごいているやん」と私は力説しました。おとぎ話の話をしているのではありません。私の目にははっきり見えていました。きねでお餅をつくウサギが。

2つ目は小学校の頃。望遠鏡で月を見ていました。海と言われている黒い部分や,クレーターを見るのが大好きでした。「あれが静かの海なんやな」とか思いながら,飽きずに長時間見ていたものでした。

3つ目は大学生の頃。その夜は自転車で自動車教習所に向かっていました。そのとき突然,銭湯に行く途中で父にウサギがいることを力説していた,あの記憶が蘇りました。そんなことすっかり忘れていたのに突然思い出したのです。でも今の自分が見ている月にはウサギが見えませんでした。月の海がぼーっと見えているだけで,ウサギとして見ようとしてもそう見えませんでした。

そのとき,自分が子供じゃなくなったことを悟りました。もう,お餅をついているウサギは現れてくれないのです。どこかに何かを落としてきてしまったような感覚があり,なぜか突然悲しくなりました。

そんな私は今日,2人の娘ときれいな満月を見ました。私は娘達に「大人にはお月様のウサギが見えないんだよ。大人になると子供の時に見えていたものが見え なくなっちゃうんだよね。」と話しながら,月を見ました。娘達は,「あ。ウチ,見えた。動いてるよ,ほら」と言っていました。

部屋に戻ってから,月にどんなウサギが見えたか,絵に描いてみました。長女は,写真のようなウサギが見えたそうです。
長女の見た月のウサギ